木曜洋画劇場TRPG『エクスペンダブルズ』シリーズ(予定)第二弾
原案第一稿(2013.06.01)
著:カイゼルちくわ
修正履歴
2013.06.05 分かりづらかったMP増加の処理の説明を書き直し(ルールに変更はありません)
《本作の想定するプレイ環境》
プレイヤー(以下PL):3〜4人
想定プレイ時間:参加人数×20分+20〜30分(運次第)
※ゲームマスター(以下GM)は、10〜15分を正確に測れる機器
(ストップウォッチ、キッチンタイマー、デジタル時計など)を必ず用意すること
※本作は前作『セガールTRPG』を第一弾とし、今後も新作が誕生する予定の(あるいは皆に勝手に作ってもらう)
「木曜洋画劇場TRPG『エクスペンダブルズ』」シリーズの第二作となっており、
将来的に全シリーズのシステムを混ぜて自由に遊べる仕様を想定しています。
よって、能力値などのシステムの根幹部分はそれを見越して、『セガールTRPG』と同じとなっています。
……流用して手抜きしてるワケじゃないんだよ、ホォ〜リィ?(cv.野沢那智)
今後このシリーズの作品を自主的に作って下さるという方々は、
システムを合体させるためにも、「シナリオ難易度」と「能力値」、
「能力値+2D6を使う判定システム」と「戦闘システム」の部分は変えずにお願いします。
●はじめに 〜本作の趣旨〜
本作『ダイ・ハードTRPG』は、今なお根強い人気を誇るアクション映画の金字塔、『ダイ・ハード』シリーズを愛してやまない方々、そして「10分に1回の大スペクタクル!」「息つく暇もない迫力シーンの連続!!」といったハリウッド・アクション映画のキャッチに心躍るという方々へ贈る、「息つく暇もなく襲い来るピンチ」と「世界で一番運が悪い、だけど殺そうとしてもそうそう死なない、『ダイ・ハード』の主人公ジョン・マクレーンのような活躍」を楽しんでいただくための、かなり変則的なTRPGルールブックである。
上記の要素に胸が躍らないという方、『ダイ・ハード』シリーズを見たことがないという方、ならびにマクレーン(というか演じるブルース・ウィリス氏)のように活躍するたびに髪の毛が減っていくのが怖いという骨なしチキン野郎には、正直本作のプレイはオススメできない。また、先んじて言っておくと、「ダイス運が悪い」という人の方が本作では強い。ダイス運に自信があるという人は、別のゲームで活躍してもらった方がいいかも知れない。
なお、本作は著者の別作品である『セガールTRPG』とは異なり、プレイヤーキャラクター(以下PC)が無敵ということはなく、世界一運がない以上やられる時は案外マクレーンもやられるもんなんだなぁ〜、といった感じになっている。そんな不運の中を生き延びられるかどうか……そこはプレイヤー諸兄の手腕と、何より「運の無さ」にかかっていることを、まずは頭の片隅にでも置いておいていただきたい。本作では、マクレーンのような「運が悪い」ヤツが主人公だ!
●本作の特徴 〜10分ごとに大惨事〜
まず、本作をプレイする上でまず覚えておいてほしい要素は、「10分ごとに爆発とかが起こる」ということである。
これは冗談でも何でもなく、GMはセッション中、ストップウォッチなどで正確に10分を計測し、10分ごとに大惨事イベントを強制的に起こさねばならない。さもハリウッド・アクション映画の、10分ごとの大ピンチのごとく。
アラーム音が10分経過で鳴るキッチンタイマーなどを用意すれば、いちいちGMが時間経過を確認する手間も省けるので、お勧めである。
この大惨事イベントは、突然地下鉄ホームで大爆発が起こったり、暴走車のせいで渋滞が玉突き大惨事に見舞われたり、特売セールに殺到するおばちゃんの集団に轢かれたり、宇宙人がホワイトハウスに攻撃をしかけてきたりと、とにかくPCたち全員が巻き込まれる大規模かつド派手なものにすること。基本的にはGMがその場のノリや周辺の状況からアドリブで決めることが望ましいが、アドリブが苦手なら、GMは事前に起こる惨事を決めておくか、その場でプレイヤーたちと相談して「こんな惨事が起きたことにしよう!」と決定しても構わない。別行動で違う場面にいるPCがいた場合、そちらでも同等の大惨事が起きる。
そしてどんな形の惨事であれ、結果として必ずPC全員の体力が即座に1D6(6面体ダイスを1個振り、その数値を適用)減ることとなる。この減少値は、各PLが自分のPCの減少分を自分でダイスロールして決めること。
『ダイ・ハードTRPG』のセッションで扱う世界観や舞台には、一切制限はない。舞台がナカトミビルの中であろうとも、甘酸っぱい青春群像がまぶしい学園内であろうとも、なんかフォースの暗黒面がうんたら言いつつ蛍光灯で斬り合う宇宙戦争ものだろうとも、リアル時間で10分ごとに爆発とかそういう大惨事が起こって体力が1D6減る。たとえセッション中のシーンがかっこいいタンカを切っている場面や、異性NPCに告白を行っているシーンだったりしたとしても、大惨事は起きてしまう。だってお前ら全員マクレーン並みだもの、10分に一回吹っ飛ぶ程度には運悪いよね。
このひどく運の悪い状況を切り抜け、GMがシナリオで設定した最終目標に到達できた時、きっとその活躍の軌跡はハリウッド映画以上の大スペクタクル作品となっていることだろう。
なお、PLはこの10分ごとの大惨事に対しては、時計を見る、自分もストップウォッチで計るなどといった無粋な行動はしない方が本作を楽しめる。登場人物には予測できないハプニングだからこそアクション映画は面白いのである。GMはどうしても気になるなら、セッションを行う部屋中の時計を隠し、なおかつ各員に携帯の画面や腕時計を見ることを禁じても良い。
しかし、本作をプレイしてくれるという酔狂かつ善良な市民であるPLたちならば、そのような禁則を設けなくとも、自ら時計を放棄してハプニングを楽しんでくれることだろう。
また、メンバーがTRPGに不慣れだったり、GMが捌ききる自信がないと泣きついたりする場合、10分ごとではなく15分ごとに大惨事となるなど、時間を変更しても構わないものとする。また、だれかがトイレに行きたくなった場合など、長時間セッションが中断状態になりそうな場合、ちゃんとタイマー類も一時停止させておくこと。
●シナリオメイク 〜特に設定しなくてもひどいことになる〜
GMは自由な世界観や舞台を設定し、通常のTRPGのように、「ここで情報収集の判定に成功すると情報が得られる」「いくつかの情報を統合すると最終目的地が分かる」などといったシナリオメイクを行ってもよいが、本作は10分に1回大変なことになる関係上、あまり複雑なシナリオを用意すると、タイムオーバーになりがちである。
なので慣れないうちは(一生慣れないと思うが)、以下のような簡易シナリオメイクをお勧めしたい。
@ GMは参加PLの人数と同じ数だけ、「最終シーンフラグ」を用意する(内容は「ボスの居場所」などといった単語程度のものでいい)
A PLはPCに、今回のシナリオの舞台などをGMから聞いた上で、「達成したい目標」をキャラメイク時に設定する。これは周囲のPLとも相談し、簡単には達成できなさそうなものにするとより面白くなる(TRPGに不慣れなPLの場合、易しい目標にしてあげるのが紳士である)
B 10分の大惨事が起きるたびにGMは1D6を振り、4〜6が出た場合、(1D6)人のテロリストを大惨事に乗じてシーンに乱入させる(能力値などについては後述)。セッションの時間が長引いてしまっていたりする場合、ダイスを振らず速攻でテロリストを出したりしてもよい。
C 上記のテロリストを戦闘で倒すと、「最終シーンフラグ」のうちのどれか1つをテロリストから聞き出すことができる。GMは時間の都合などから、一人のテロリストから残りの全フラグが手に入ることにしたりしても構わない。
D すべての「最終シーンフラグ」をPCたちが入手したら、即座に最終シーンへと移行する。PCたちが敵地へ向かったりしなくとも、ボスが勝手に出てきたりする。無論、ボスを倒すまで大惨事は10分ごとに起こり続けるので、なんとしても倒して止めねばならない。
この形式のシナリオでセッションを行う場合、大惨事が起きるまでPLとPCは、ひたすら自分の「達成したい目標」のためにロールプレイや情報収集などをしつつ、次の大惨事で体力が0にならないように回復手段を探し回ることとなる。(ただし後述するが、0になっても復活の方法はある)
なお、GMはシナリオ作成時に、そのシナリオの「シナリオ難易度」を設定すること。通常の場合、このシナリオ難易度は「10」とする。TRPGに不慣れなメンバーが多い場合は1〜2程度少なく、熟練者だらけなら1〜2程度増やして構わない。
このシナリオ難易度は、「セッション中にPCが何かを行う際の判定」の目標値となる。また、あくまで基準ではあるが、登場する敵NPCの能力値は以下のようになる。あくまで基準なので、GMは極力バランスよく調整・増減させること。
・ザコ敵、大惨事時に現れるテロリストの能力値: 「シナリオ難易度」そのまま
・中ボス的扱いの敵NPCや大惨事テロリストのリーダー: 「シナリオ難易度」+2
・最終ボス、あるいは最終障害を排除するための判定目標値: 「シナリオ難易度」+8
●キャラメイク 〜5つの能力値とMP(マクレーンポイント)〜
本作に参加するプレイヤーは、まずは自分の分身たるプレイヤーキャラクター(PC)を作成する。
PCの能力は、以下の5つの能力値で表現される。
武力(直接戦闘で使用) 5
敏捷(瞬発力を表わす) 5
知力(知識などの深さ) 5
魅力(交渉などで使用) 5
体力(0になると退場) 5
各能力値の初期値は5だが、キャラクター作成時に各PLは、自分のPCの好きな能力値を2点上昇させることができる。一つの能力値を2点増やしてもいいし、2つの能力値を1点ずつ増やしても構わない。
なお、本作では特に重要になるが、体力で判定(後述)を要求された場合、爆発などのダメージで減っている現在値を基準値とすることになる。また、体力はこのキャラメイク時に決めた値が上限値となり、セッション中はこの値を越えて回復することはない。
また、PCには敵にダメージを与える「攻撃力」なる能力も存在するが、これは固定の数値ではなく、「1D6」(6面体ダイスを1個振り、その合計数値を適用)とする。GMは状況やPLのロールプレイの結果を加味して(例:素手ではなく近くにあったアイテムを有効な武器として利用するなど)、この攻撃力を2D6(6面体ダイスを2個振り、その合計数値を適用)や3D6に増やすことを適宜許可してもいい。
そして各PCはこれら能力値とは別に、「マクレーンポイント」(MP)を3点持つこととなる。これはいわゆるヒーローポイントとして消費する、便利なポイントであるが、回復手段が非常に限られるので注意されたし(詳細は後述)。
●判定方法とMP 〜自動失敗が大逆転の鍵〜
常に成功してばかりの主人公など、映画界ではごくまれである。PCが取ろうとしている行動が成否があやふやであると判断した場合、GMはそのPCに対して判定を行うように要求すること。
判定は、対象PCのPLが「GMがその判定に最適と指定した対象PCの能力値+2D6」の値をダイスロールで決めることで行う。結果の数値が「シナリオ難易度」と同値かそれ以上だった場合、行為は成功したことになる。
GMは判定を行わせる前に、その行為が簡単だと思うなら「シナリオ難易度」−1〜3程度で成功することにしたり、逆に難しそうなら+1〜3程度の修正を加えて成功しづらくしたりすること。
なお、この判定時、2D6の出目が6、6のゾロ目だった場合、その判定は自動的に成功したことになる。
だが、逆に出目が1、1あるいは1、2だった場合、その判定は自動的に失敗してしまう。
ただし、この1、1か1、2の出目を出したPLは、即座に自分のPCの「マクレーンポイント」の上限値(初期値は3)を+1し、さらに上限値まで回復させること。運悪く失敗することは非常にマクレーンらしく、本作ではヒーローとして申し分ないからだ。ただしMPが増えるとともに、マクレーン同様だんだんHP(ヘアーポイント)は減っていくかも知れない。気分的に。
例外として、戦闘中にダメージ決定ダイスを振った際にそれが2D6だったとしても、上記の自動成功や自動失敗は起こらない。
マクレーンポイント(MP)は1点消費することで、以下のような効果を発揮する。なお、各PCのMPは、他PCに譲ったり、他PCの判定などに使用したりすることはできない。
@ 種別を問わず、判定に使うダイス(D6)を1つ増やすことができる。この宣言は、実際にダイスを振る前に行うこと。一度に何点使っても構わない。ダメージを出すダイスの場合はそのまま合計値を出すが、「能力値+2D6」の判定でダイスを増やしている場合、振ったダイスの中から好きなもの2つを選び、2D6の値とすること。
A 今振った判定やダメージ決定のダイスを、振り直すことができる。@の効果でダイスの数が増えている場合、その増えたダイスも含めて振り直す。振り直しの際に、さらに@の効果でダイスを追加しても構わない。また、2つ以上のダイスを振り直す場合、一つだけ「振り直さない」ダイスを選び、キープしておくことができる。
B 大惨事や敵からの攻撃などで、体力が減ることを防いで減少を0とする。この効果は、実際に何点のダメージを受けるかダイスロールなどで決定した後に使用することができる。
C 交渉が決裂するなどして疎遠になったNPCと、マクレーンが元妻・ホリーや娘たちと一時的に和解するのと同じように、仲直りして再度話を聞いてもらえるようになる。ただし本物のマクレーンはセッション中はこの用途にMPを使うことはほとんどなく、ボスを倒した後のセッション終了時に、MPが余っていたら最後に使うかも、という程度だと覚えておこう。
なお、出目「1、1」「1、2」をMPで振り直す場合、MPの上限+1&全快の効果は受けることができない。MPを増やしたければ、自動失敗に甘んじること。
逆に言えば、自動失敗をよく出すPCはいつの間にかMPが多くなり、ここぞというところで判定のダイスを増やして、6の目が出たダイスをキープしつつ6ゾロを狙ったり、ダメージダイスを一気に増やしたりすることができる。積極的に行動し、判定の機会を生み出していくといいだろう。
序盤のうちや真に追い込まれた場合などに、こうしてダイスを増やしたりキープしたり振り直したりして1、1か1、2が出ることを狙い、MPの増加を狙うのも手だが、本当に運が悪い人間はそうして狙った時に限り、1ゾロがなかなか出ないものである。要注意。
なお、とても重要なことだが、10分ごとの大惨事によるダメージも、このMPを1点消費すれば、無効化できることを忘れずに。行動不能になるよりは、MPを使った方がいい場面も多いはずだ。
●戦闘時の判定 〜大惨事に注意〜
敵との戦闘が発生した場合は、以下の手順でターン制のバトルを進めていく。無論、1ターンの間に各PCやNPCが行動できるのは1回のみである。
・各ターン開始時、イニシアティブ(行動順)の決定
・イニシアティブ順に各キャラクターが行動(PCはダイスで判定、NPCはダイスを振らず固定値で判定)
・ターン終了、次のターンへ
まず戦闘中の各ターンの開始時には、イニシアティブを決定する。各PCは「敏捷+2D6」、GMが管理する敵NPCの場合は「敏捷」そのままを値として出し、この値が高い者から順番に行動していく。この判定は、各ターン頭ごとに繰り返す(ダイスをその都度振ること)。
なお、本作では戦闘時、攻撃の射程はすべてその戦場内の範囲で無限として扱うので、GMが用意したシナリオ上のギミックなどがない限りは、キャラクター間の距離や配置を気にする必要はない。
戦闘中、PCの攻撃が敵NPCに命中するかどうかは、攻撃側PCが「武力+2D6」で判定し、敵NPCの「敏捷」以上(つまり同値含む)となったら命中したものとする。ダメージは攻撃力、つまりボーナスなどがないなら「1D6」を振って決定し、その値分、敵NPCの「体力」が減少する。
敵NPCがPCに攻撃してきた場合、PCは「敏捷+2D6」で敵NPCの「武力」以上(同値含む)の値を出すことができれば、その攻撃を回避できる。回避できなかった場合は、GMが「1D6」を振ってその値分PCの体力を減らす。
なお、PCが攻撃や回避の際に2D6で6ゾロ、あるいは1、1か1、2を出した場合は、通常の判定同様、敵の能力値に関係なく、自動成功と自動失敗の効果が発揮される。さらに攻撃時の6ゾロの場合、ダメージのダイスを振った結果の値を2倍にし、回避時の1、1か1、2だった場合、受けるダメージのダイスを振った結果の値を2倍にすること。
恐ろしいことに、MPを駆使して攻撃を6ゾロで当て、ダメージダイスを3D6まで上げれば、平均的なボス(体力18)ならば、ダメージ決定時に3D6の期待値・10か9を出せばダメージ2倍効果により一撃で倒せる。もっとも、それを実現するにはかなりのMPが必要となり、それだけMPを稼げる人物は、ここで期待値を出せるほど運がいいとも思えないが……。
また、忘れがちであるが、戦闘中もGMはしっかりと大惨事のタイムカウントを止めずに計り続けること。無論、戦闘中でも10分を迎えたなら大惨事が起き、すべてのPC、ならびに敵NPCも即座に1D6のダメージを受ける。これでボスの体力を減らしにかかるという戦法も、諸刃だがアリかも知れない。
ただし、敵のボスNPCは、この大惨事のダメージによって体力が1未満になる(=倒される)ことはない。
●体力が0になると? 〜1回休みか強行出演か〜
戦闘や大惨事によってPCの体力が0になった場合、そのPCは次の大惨事が発生し、ダメージの処理が終わるまで、登場することができない。これにより、そのPCはその間判定などに参加することはできないが、PLは天の声としてほかのPLにアドバイスを飛ばしたり、ヤジを飛ばしたり、「ホォ〜リィ…」と野沢那智声で嘆いたりする自由を有する。
次の大惨事の処理が終わった時点で、そのPCは体力1の状態で復活する。即座に回復手段を探さないと、次の大惨事で確実にまた1回休みになることだろう。
なお、全PCの体力が大惨事によって同時に0になった場合のみ、その場でPC全員が体力1の状態で復活する。敵の攻撃などで全PCの体力が0になった上で、だれも強行復活(後述)ができない場合は、ミッション失敗ということで相応のエンディングへと移行する。
なお、敵のNPCのみならず、それ以外の登場しているNPCもまた、大惨事によりダメージを受けることを忘れてはならない。こうしたNPCの体力はすべて5として扱い、無論体力が0になったら1回休みとなる。重要な情報などが、これによって得られなくなる可能性もあるだろう。
大惨事発生時、NPCと同じ場面に登場しているPCは、そのNPCをかばって余分に「1D6」のダメージを負うことで、そのNPCが負う大惨事のダメージを0にすることができる。この1D6ダメージはMPで0にすることができるが、自分が大惨事で負う1D6ダメージも消したい場合は、別途MPが必要となる。
また、体力の回復手段については、GMは各PCが回復手段を探し、それに適したものを探し当てたと判断した場合、そのPCに対して「1D6」の体力回復を認めること。この回復のダイスもMPで増やしたり、振り直したりすることができる。
なお、1回休みの状態になっているPCが「どうしてもここで登場したい!」という場合、各PCは1シナリオに1回のみ、「強行復活」を宣言し、好きなタイミングで即座に体力1の状態で登場してもよい。なお、最終戦闘が終わった時点でまだ1回休みの状態だった場合、そのPCは死亡したこととなり、セッション中に「達成したい目標」をすでに達成していたとしても、それは未達成として扱われるので要注意。
●最後に 〜「運」を試せ!〜
ルールを読んでいただいた段階ですでにお見通しの方も多いかとは思われるが、本作は前作『セガールTRPG』がロールプレイを重視したシステム(というよりそれ以外はガン無視)だったのに対し、『ダイ・ハード』と「世界で一番不運な男」ジョン・マクレーンの再現のため、これらの最大の要因である「運」にかなりのウェイトを置いている。
そして、かなりの確率と頻度で各PCは一回休みになるようになっている。
ロールプレイを頑張っても、10分ごとに吹き飛ばされたり、さらにダメージダイス次第では大惨事のダメージだけで1回休みになり、今までのロールプレイや調査行動が無駄になったりする。
ここで復活! と1回きりの強行復活を使ってみたら、直後に大惨事が起きてまた退場になったりもする。
MPを色々確率も計算して使って、ボスに対して一発逆転を狙ってみたら、出目がここぞというところで腐っておじゃんになったりもする。
だが、『ダイ・ハード』だもの。そりゃ主役の運も悪くなる。むしろ運が悪くなることを前提に、とんでもないタイミングで大惨事が起きることをHAHAHAと笑い飛ばす勢いで楽しんでいただければ幸いである。
また、たとえば体力を7にしておけば、少なくとも1回目の大惨事のダメージ(1D6)だけでは絶対に退場になることはなかったり、どんなダメージもMPさえとっておけば無効化できたり、行動する機会を増やして判定回数を増やせばMP回復&増加の確率も上がったりと、すべてが「運」で決まるわけではなく、リソース管理やロールプレイでどうにかなる部分も多くある。
ぜひ失敗を恐れずに、積極的に動き回っていただきたい。それこそあちこちで無謀に振る舞ってケンカを売って回る、ジョン・マクレーンのように。大丈夫、MPを1点使えば重要そうなNPCとかとも、やりすぎて嫌われたとしても即座に仲直りできたりするぞ!(コラ)
なお、冒頭の注意書きでも少し触れているが、本作は『セガールTRPG』や今後制作(予定)の木曜洋画的TRPGと、混ぜて遊べる仕様を前提に作られている。将来的には各PLが「俺セガール!」「じゃあ俺マクレーン!」「じゃあ俺チャック・ノリス!」などとキャラのアーキタイプを選び、あるPCはセガールポイントを溜めてラスボス戦で無敵化、あるPCはなぜか自動失敗するたびに強くなる、あるPCが言った妄言っぽいチャック・ノリス・ファクトが現実になる(ぇ)、などといった、ハチャメチャなPCたちがごった煮で活躍する『エクスペンダブルズ』的な展開もできればと考えている。
愛してやまない木曜洋画劇場作品があるというTRPG者の方は、本作冒頭で触れているシステム共有のための注意を守りつつ、「チャック・ノリスTRPG」や「ジャッキー・チェンTRPG」などを自作してみていただきたい。そして許されるならばこのシリーズの1作としてその作品を加えさせていただき、来るべき『エクスペンダブルズ』セッションが実現する時を、楽しみにさせていただければ幸いである。
以上