R-TYPE TRPG リプレイ01 コハクイロノソラ
The Day Before
2012.02.05 AM01:55〜
日本が最も寒かった、そんな時期の深夜。
本作『R-TYPE TRPG(テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム)』製作者にして、今回のテストプレイセッションのゲームマスター(TRPGという遊戯における進行役、ホストのような存在。以下GM)カイゼルちくわは、その時、えらい勢いで悩んでおりました。
『R-TYPE
TRPG』は基本部分こそ完成しており、現段階でも「製作者以外の人が使っても最低限遊べる」という段階には達していると自負しておりますが、まだまだ遊びにくく、調整が必要な部分も多々ある上、使える機体の数もまだまだ少なめ。
なので調整点の洗い出しや、新機体のデータを実地で試すほか、何よりも「遊びやすさ」を追求するため、実際のプレイヤー(TRPGに参加し、GMの用意した環境で遊んで行ってもらう皆さん。以下PL)さんたちにプレイを体験していただき、生の反応やご意見を伺うべく、テストプレイを重ねて行かねばなりません。
というワケで迎えた、第三回のテストプレイを2月4日(土)の日中に終えまして、帰宅した深夜。
このGMは翌日、2月5日(日)に控える、第四回のテストプレイに備えねばならないのですが……。
GM 「……ま、また……やらかしてしもぅた……(汗)」
その日の日中、第三回のテストプレイ。本作のサンプルシナリオとして掲載予定のシナリオを、実際にプレイしていただくというセッションだったワケですが。
セッションは無事終了し、結末もGMが想定しうる中で一番のハッピーエンド。PLの皆さんにも、好評の声をお陰様でいただきました。
しかし。
GM 「初めてこのゲームを遊ぶ人向けの、サンプルシナリオなんだぞこれは! なんでTRPG上級者、4人の腕っこきPLが……約9時間かけて、やっとこさギリギリのところでパーフェクトにクリアーできるような難易度になってんのよォォォォォォォ!? 馬鹿なの死ぬの!? バイドなの!?」
サンプルシナリオということで、難易度調整をそれらしく初心者向けにしたはずだったのです。
しかしこのGM、TRPG製作能力についてはまぁ人並みとしても、GMとしては10年以上ずっとTRPGをやっておきながら成長していない、かなり偏った男。
ここ数回のテストプレイでやっとこさ自覚したことですが、手加減や初心者への配慮がとてもヘタなのでした。
TRPG(テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム)は、非常に自由で、かつ奥が深いゲームです(TRPGの解説については、次頁にて簡単にですが触れています)。そこに惚れこんだこの男は、とにかくPLを驚かせ、楽しませ、面白い物語が生まれるようなきっかけをシナリオでPLに与え、あとはPLの頑張りを必ず物語に反映させ、PLに自分たちが成し遂げたと言う達成感と、何かしらの「感動」を胸に帰っていただく、という姿勢を、この10年来貫いてきた男でした。
……しかし言うまでもなく、これは初心者には厳しいスタイルです。
そもそも何を頑張ればいいのかも分かりづらいでしょうし、逆に言えばこの男、PLが頑張らなかったならそれ相応にひどいことになる(例:世界が滅ぶ)ルートを常にシナリオに織り込み、しかもそれがGMの押し付けではなくPLが頑張らなかったから、という理論になる流れを用意周到に設けておき、悲劇が起きたらPLに「俺たちの頑張りが足りなかったせいで……」と悔やませることを常に意識する男です。
いやしかし、TRPGは皆で物語を作る遊戯。「GMのせいでひどい物語になった!」などとPLに言わせるようでは0点です。皆で作った物語、皆に責任があるんだよ! ということをしっかり分かっていただくことは、最重要ではないでしょうか?(意訳:セッション終わった後にPLにお前のせいだとリアルフルボッコにされるのが嫌なので逃げ道を用意しtゲフンゲフン)
そして、迎えようとしている第四回のテストプレイセッション。
この日参加してくださるPLの布陣は、以下の通り。
※ちなみに他の一部TRPG作品のように、PL1が主人公役、などといったことはございませんのでご注意を。
PL1
TRPG初心者。ニコニコ動画にて『R-TYPE TACTICSU』の人気動画シリーズを投稿し続けている、『R-TYPE』知識では超ベテラン域の人。
ちなみに前日の第三回テストプレイにも参加し、『TACU』動画制作者ならではのリアル戦略眼の鋭さを発揮してくれました。ちなみにその動画に登場する某人物、ほぼそのままの人であります(次頁以降でよく分かるかと)。
PL2
TRPGをGMともども、高校時代から遊び続けてきているベテラン。しかし『R-TYPE』については、最近『TAC』『TACU』をプレイしたという程度。
こちらも前日の第三回テストプレイに参加。容赦のない出目で某水爆ミサイルをクリティカルさせまくり、GMが丹精込めて用意した敵バイドを次々と想定外の速さで葬りました(にくい)。GMとの付き合いも長く、その思考を読むのも得意な、GMにとっての宿敵の一人。
PL3
TRPGをまともに遊ぶのは今回が初めてとのこと。こちらもニコニコ動画にて『R-TYPE』シューティングシリーズの人気動画シリーズを投稿し続けておられるお方で、動画投稿歴なども含めれば、おそらく『R-TYPE』シューティングシリーズの腕前や設定の知識量などはこの中で一番で、無論GM以上です。おそらく今回のGM、PL全5名の中で、もっともバイドに近いお方と言えるでしょう(注:褒め言葉です)。
PL4
TRPGは今回が本当に初めて。若人ながら、『R-TYPE』シリーズをこよなく愛する将来有望なお方。今回WEBなどでのテストプレイヤー募集の告知を見て、TRPGはやったことはないけど、と勇気をもって今回の実験体……じゃなくてテストプレイヤーに名乗り出てくださいました。さらに別作品のリプレイやWEBの記事などで、簡単にですが予習もしてきてくださったというやる気の溢れっぷり。これを将来有望と言わずして、何と言いましょうか!?
なんと、TRPGのベテランは一人、あとは『R-TYPE』は好きだけどTRPGについては初心者(未経験者)という、ほぼ初心者ばかりのPL陣。
『R-TYPE』は好きだけど、TRPGは遊んだことないなぁ……という人をメインターゲットの一つとしている本作『R-TYPE
TRPG』におきまして、このメンバーはまさに理想的です。GMの脳内でTEAM R-TYPE各員が、ワッショイワッショイと理想的な実験環境に諸手を上げているのが丸分かりなほどです(←危険)。
しかし、先述の通り、このGMは初心者対応がほぼ壊滅的にダメ。
しかも第三回セッションが9時間かかっていることからも分かる通り、時間管理も絶望的に下手。というより、プレイヤーの許しさえあれば、「物語をより良くするためならば時間管理など邪魔でしかないわ! 文句があるならPLどもよ、ロールプレイでかかってこい!!」 などと叫び出す男です。
しかし初心者にいきなり先述のような9時間のプレイというのは、体力的にも精神的にも厳しすぎるものがあるでしょう。
そんな男が第四回テストプレイのために用意したシナリオでしたが、さすがに第三回テストプレイが地獄絵図となったことで、ようやっと自分の「易しい」基準はどうもおかしいということに気が付いたようで。
前日の深夜、このように頭をうんうん悩ませつつ、シナリオの再調整にかかっていたワケです。
多分この今用意してある第四回用のシナリオは、初心者に優しくないんだろうなぁと。
……そして、悩みに悩んだ数時間後。
結果。
ちょろっと出てきた弱いバイドをわー敵だーと迎撃に出て倒し、第二波を迎撃に出たら「実は伏兵が!」と、まだWEB上では公開していない開発レベル2の敵バイド(PLにとってはまだデータが分からない未知の敵)が襲ってくる! 大変だー! そしてそれを倒して大団円、わーい!
……といった感じの、改めて初心者向けの新シナリオが出来あがr
GM 「(ぷちんっ☆)ぬるすぎるわァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
その場で、そのシナリオを書いたルーズリーフは、叫びとともに破り捨てられました(てへぺろ)←真顔
……いや、今考えてみれば、その程度の小規模なシナリオの方が、初心者の方にはちょうどいい負担度合で、プレイ時間的にも3〜4時間で収まるので、今回の主旨には最適だったのです。
しかし、この男の病的なまでの「感動的な物語」「PLたちの達成感」へのこだわりが、それを許すどころか根底をブチ壊そうとしておりました。
GM 「こんなシナリオで感動し、面白かった〜と言いながら帰ってもらえるものかよ! TRPGはそんな浅い遊びじゃないことを、初心者の皆さんにもドゥンドゥンお伝えしようじゃねぇか!! そもそも初心者向けとか私みたいな低能GMには無理だからほかのもっと有能な人に任せた! 私にできるのはやはり……面白さを! 感動を! 達成感を!! 与えることのみ!!」
完全に開き直ったGM。そして不幸なことに、その暴走を止めてくれる人など側にはおりませんでした。
GM 「そもそもせっかく『R-TYPE』をTRPGにしたんだ! TRPGというこの遊戯なら、『R-TYPE』の世界でこんなこともできちゃうよ、という独自の売りィィィィィィをここで見せねばなるまいて!?」
そう叫び、元々用意してあったシナリオを引っ張り出してきたGM。
すでに真夜中のその時間、GMの目は血走り、ちょっと琥珀色になりかけていたというウワサもあります(ぇ)
GM 「(シャーペンをシナリオ書いた紙に走らせまくりつつ)………いや、初心者でもここをこうしておけば、最悪の場合でも物語の最後のシーンにはたどり着けるようになる。たどり着いて勝てるかどうかは知らん。PLの頑張り次第だ。どう頑張ればいいのか分からないという人のために導入をしっかりして……初心者でもロールプレイしたくなる状況を……あ、あとこのままだとビックリ度合が足りないな。なんかもう、劇場版ってくらいのノリでビックリしてもらうためには……あ、最後の敵はアイツにしちゃおう。あ、あの人も出てきたらビックリするだろうから出しちゃえ出しちゃえ♪ あとは矛盾がないように……」
……すごい勢いで、当初のコンセプトから外れていくテストプレイシナリオ。
夜中の3時〜4時を迎えるころに、第四回テストプレイ用のシナリオは、初心者向け調整どころか逆方向へとパワーアップしていったのでした……。
というワケで、ここまで前日の茶番劇だけで長くなってしまいまして申し訳ございませんが……。
次頁からは、このような経緯でTRPG初心者向け(多分)ながらも劇場版規模のサプライズ有り、とにかくPLに頑張りの場面を、その結果としての感動と達成感を与え、ついでにTRPGだからこそできる『R-TYPE』の新たな境地をPLに(強いてはリプレイ読者様にも)知ってもらおうという、かなり無謀なコンセプトでGMが用意したシナリオでの、テストプレイセッションの様子をご紹介して参ります。
ぜひぜひ、『R-TYPE TRPG』ではGMとPLで、このような物語も再現できる、という新たな感覚などなど、お楽しみいただければ幸いです。
あとね!
やたら長いから覚悟してね!(逃)