※PLキャラクター(プレイヤーキャラクター、略してPC)の能力等はこちら(別窓で一覧ページが開きます)
08 広がる、ソラ
2191.03.06 AM05:02〜(トリトンY)
BGM After the Time(『Armored Core for Answer』サウンドトラックより)
ヴァナルガンド級巡航艦は、亜空間回廊跡のすぐ近くに、自動操艦で待機していた。
GM 「では、ヴァナルガンド級の観測機器で確認できます。周辺のバイド反応完全になし、皆さんの機体への汚染もありません」
テイトク 「よし! ……いや、S級バイド倒してバイド化していないとか、それだけですごいわ」
ユージ 「奇跡だろ(笑)」
GM 「……そして、あの巨大な謎の戦艦の姿も、もちろんありません。あるいは、どこかからか見ているのかも知れませんがね?」
あれは、一体何者だったのか。
そして、亜空間回廊で遭遇した、あの一連の現象は何だったのか。
……バイド、とは。
しかし、彼らにはそれらを考えるより前に、まずやらねばならないことがある。
ガリレイ 「確か、これと同規模クラスの現象があちこちで起きてるんでしたっけ……?」
GM 「そうですね。残念ながら、間に合わなかった宙域もあることでしょうが……あなたたちが迅速に発見した、エーテリウムブースターを使った解決法。これを伝えれば、まだ間に合うところも多いかも知れません」
ガリレイ 「なるほど……それは連合軍と革命軍、両方に伝えましょう」
勢力の枠に捉われない、自由傭兵が過去の記録から見つけ出した救済。
このエーテリウムブースターの原理と作成法の早期伝達により、太陽系外周部の被害は、最小限に留められたという。
今はまだ、激動の時代。そして、歴史上の大きな事変の、その始まりにすぎない。
だが後の世には、この時数多くの尊い命を救い、人類に「反撃」のための時間を与えてくれた彼らのことをこそ、真の英雄であった、と称した者もいたという。
GM 「……では、これから皆さんはどうしますか?」
ガリレイ 「それはもちろん、トリトンYに戻りますよ! 待っている人がいるんでね!」
ユージ 「……亜空間回廊があった宙域を艦橋から眺めて、『ジョン、ありがとう。……見ていてくれたかい?』と、呟いておきます」
テイトク 「俺は…………本当に疲れたぁぁぁぁぁぁ!ガチ泣いた(汗)」
ケイ 「トリトンYは、無事なんですか?」
GM 「ええ。皆さんの活躍は完璧でしたから」
数時間後、ヴァナルガンド級巡航艦の有視界内に、古く、ちっぽけな、トリトンYの姿が入る。
だが、艦内のだれもがその姿を、みすぼらしくなど感じようはずもなかった。
GM 「コロニー内の人的被害はゼロです。暴動も起こらず、むしろコロニーの住民のほとんどは、何が起きていたのかさえ知らないでしょう。あなた方の活躍についても、称えてくれる人は少数でしょうが……」
ガリレイ 「まぁ、そうなるように努力したからね……」
GM 「コロニーの中は、あくまで平和なままです」
ユージ 「それこそが、最高だよね……」
テイトク 「そうだねぇ……」
喜色満面の管制官の誘導により、宇宙港へ。
そして、宇宙港では……。
GM 「宇宙港に入りますと、見送ったところと同じ場所で、エレナさんとリタちゃんが待ってますね。……ああ、残念ながらマルコさんやおっちゃんたちは、街の事後処理やほかの作業でてんやわんやのようです(笑)」
テイトク 「まぁ、それは仕方ないね(笑)。しばらくガリレイのことは放っておきます」
入港。そして、乗組員用タラップが解放され……。
S級バイドを駆逐せしめた英雄たちは、約束通り、帰還を果たした。
GM 「ではまず、港まで来たあなた達に……リタちゃんがケイさんの方に駆け寄ってきますよ。『おかえりなさーい!』」
ケイ 「……泣き、崩れます……(笑)」
GM 「……そうですね。しかし、ケイは興奮気味で、その涙を理解できなかったようで、一方的に話してきます。『あのねあのね! あたしね、ゆめみたの!』」
『みんなでいっしょに、バイドとたたかってたの! そしたらね、おねえちゃんがね、あのね……!』
ユージ 「……くっ……おぉ……!」
GM 「興奮しすぎて何が何やら分かりませんが……彼女は、見ていたようです。あなた(ケイ)が、琥珀色の瞳孔へと突入していった様を」
テイトク 「なんて主人公的なんだ、ケイ(笑)」
GM 「その後は、まぁそこは幼児なので空気は読まず、君の周りで『ありがと! ありがとー!』と、はしゃぎまわって、抱き着いてくる感じですね(笑)」
幼き少女は、ただひたすら無邪気に、そして、だからこそだれよりも強く。
生きていることを、生きる実感を、言葉にせずとも伝えてくれた。
テイトク 「さて(ニヤリ)あちらの方は、どうなってますかねぇ?」
GM 「それは……そうですねぇ、胸の前で小さな箱を大事そうに抱きかかえて、ゆっくりと歩いてきますね」
ガリレイ 「では、それは完全に二人の世界になって、見つめ合いますね……で、まずは一言……」
『ただいま』
ただの一言、ありふれた一言だったのに。
どれだけ、その言葉を聞きたいと願っていたのだろう。
GM/エレナ 「『……おかえり、なさい……!』と言って、泣き崩れてしまいますね」
ガリレイ 「それは、抱きかかえます。……まぁ、さすがにウェーバー君も、目に光るものがあるんじゃないでしょうか」
暫し、互いの生きている証、温もりを分かち合った後。
ガリレイはそっと、エレナに預けていた小箱のふたを、開けた。
GM 「では、箱を開けて……そこでこのシーンは終わり、ですかね(笑)。そこにちょうど時間的にも、朝日が差し込んできて、指輪を照らす、といったような」
ガリレイ 「おお……美しいですね」
テイトク 「ああ、素敵だ……」
彼らや、待ち望んでいた人々を照らし出す人工の曙光は……。
もはや一片の色の曇りもなく、ただひたすらに、白く、まぶしい。
暖かな光が、空を染めていく。
ユージ 「……では、それらの様子を見届けてから、艦長に相談します。『ちょっと艦を抜け出して、出かけてもいいですか?』」
テイトク 「『ん? 構わんよ』」
ユージは何も持たず、あの場所へ……。
公園区の展望台へと、急ぎ駆ける。
ケイ 「バイド図鑑は持ってかないんだ(笑)」
テイトク 「そこがミソでしょう(笑)」
GM 「……お見事、完璧に読まれましたな。ここに来なければ、見つからなかったものがありますよ」
「彼」が、いつも立ち、絵を描いていた場所。
そこにそっと、キャンバスだけが置かれていた。
GM 「そこに置かれているのは、完成したあの絵です。……琥珀色の宇宙など少しもなく、漆黒の宇宙(そら)の中、力強く輝く星々が描かれた絵、ですね」
ユージ 「……それを見て息を飲み、ゆっくり近づいて……キャンバスを手に取ります。そして、『ジョン……』とだけ、呟いておきます」
GM 「了解しました。それで、このまま場面がフェードアウトしていくのでしょうが……皆さん、もうすでに分かっている方もいらっしゃるかも知れませんが……絵の裏には、イニシャルが書かれています」
生命(いのち)の輝きを、何よりも愛したその人。
そして、今もなお、愛しているであろうそのヒト。
キャンバスの裏には、小さく、その名のイニシャルだけが書かれていた。
J・R。
それが意味する名前とは、本当に……ジョセフ・ロッドマンなのだろうか。
テイトク 「……だよね。そうなるよねぇ……(遠い目)」
GM 「……このイニシャルが意味することは、これからの歴史が証明することでしょう。というワケで、これはGMが想定した中でも最高のハッピーエンドですね(笑)。
皆さん、お疲れ様でした!」
一同 「お疲れ様でしたぁぁぁあああああ!!(拍手)」
ケイ 「(ぼそっと)……全員、助かったぁー(笑)」
BGM PROUD OF YOU R-TYPE ver.(椎名へきる)
ここに、一つの英雄譚は幕を閉じた。
だが、これも無数にあるこの世界の、語り切れない物語の一つに過ぎない。
そして、これは彼ら新たな英雄にとっても、終わりではなく、始まりの物語でしかないのかも知れない。
何故なら。
この、太陽系外周部の各宙域での事変。
これらは、後に「ジェイド・ロスの帰還」と呼ばれる、この世界における第二次バイド・ミッション……その始まりに過ぎなかったのだから。
※※※ CAUTION!! ※※※
こちら↑はもののついでに書かせていただいた厨二色フル装備、
しかも『R-TYPE 凵xと『TAC』『TACU』をプレイしていないと
さっぱり分からない内容の後日談(セッションとは全く別のショートショートストーリー)です。
今回のシナリオ同様、
『R-TYPE TRPG』ならこれくらい妄想、設定しちゃってもいいんだぜヘーイ!
といったことを示すためのものでございます。
読まなくてもまったくもって問題ございませんので、
この弾は避けておこうと思う方はそのまま後記や、よそ様のところへとお進みください。